ジェネラル・ダイナミックス F-111F アードバーグ

ハセガワ 1/72


1958年後半にアメリカ空軍の次期戦闘機計画からスタートし、
その後マクマナラ国防長官の空軍/海軍戦闘機統合計画により、
変更を余儀なくされ、大変な難産となった機体。
空軍と海軍の確執、要求の違い等から統合機計画はキャンセルされたが、
空軍でF-111は主力機として活躍し、
海軍においては、F-111開発で得たノウハウを活かし、F-14へと繋がった。



実戦配備開始とほぼ同時にベトナムへ送られ、
そこで、実戦デビューを果たすものの、
初期トラブルから、これと言った活躍は出来ず、評判を落すが、
これらを解決したF-111は同じベトナムで大活躍する。
しかも、当時主力だった、F-4数機分の爆弾搭載量を誇り、
遥かに高精度で投下出来、他部隊の、例えば、
空中給油、ワイルドウィーゼル、ミグキャップ等の援護、サポートを
必要としない、極めて優秀な攻撃機となった。


1986年のエルドラド・キャニオン作戦(リビア空爆作戦)においては、
イギリスから発進し、はるかジブラルタル海峡まで南下、地中海へ入り、
空爆するという離れ技を実行した。これはフランスに領空通過を拒否された為である。
この時は空中給油、海軍からのF/A-18、A-7等のワイルドウィーゼルの援護を受けている
余談ながら、海軍からは同時にA-6Eがベンガジを空爆し、
また同じ空軍からは兄弟機であるEF-111レイブンがレーダージャミングを展開している。


しかし、このF-111が1番活躍したのは、1991年の湾岸戦争である。
当時は最新鋭のF-15E ストライクイーグル、
F-117ナイトホーク ステルス機等が配備され、そちらに目が移りがちであったが、
湾岸戦争時、最も多くの爆弾を投下し、命中させたのは、紛れも無くこのF-111である。
聞いた話によると「活躍するはずが無いだろう」とタカをくくられていたものの、
あまりの大活躍により「破壊したいものがある?F-111に任せておけばいい」と言わしめ
空軍内部でも「F-111を退役させるべきでは無い」との意見が噴出した程である。


しかし、1996年、F-111は全機アメリカ空軍から惜しまれつつ退役した。
性能が劣るとか、旧式化した、というよりか、予算縮小軍事費削減の為の措置である。
実際に維持費は非常に高かったのも事実ではあったが。
F-111を1機維持する金額とF-16を3機維持する金額がほぼ同額であるらしい。

エンジン、可変翼、コクピットモジュールあたりに高額な維持費がかかったようだ。
今現在の技術ならば、設計当初から計算出来たのだろうが、
1950年代後半に計画され、1960年代前半の設計製作では止むを得ないだろう。

設計当時は最新の技術が惜しみ無く使われたのだ。


機体下面。
このモデル自体はF-111Eなのだが、本作例ではF-111Fとした。
理由は実に単純で、レーザー誘導爆弾を搭載したかったから。(爆っ!)
で、いろいろと調べたが、E型とF型では外観上の差は全くと言って良いほど無くいので、
良しとした。(なんちゅーイイカゲンな… でも、プラモデルは自己満足だからいいのさっ)
実際の外観上の差(とゆうよりも特徴)は胴体中央(F-111の爆弾倉)にセットされた、
AVQ-26 ペイブタックポッドである。
ウェポンベイ内収容のFLIR、レーザー測距/照射システムで、
レーダーを使用する事無く、夜間悪天候下における目標索敵が可能になった他、
レーザー誘導爆弾、電子光学誘導爆弾などの精密誘導兵器の運用が可能となった。
本作例ではプラ棒を削り、それらしく作った。

また胴体中央後部にはALQ-131 ECMポッドを
ハセガワ エアクラフトウェポン4 アメリカ空対地ミサイルセットよりチョイス。


画面左より、

燃料タンク+AIM-9E サイドワインダー
GBU-10 ペイブウェイ2 レーザー誘導爆弾
GBU-15 テレビ誘導滑空爆弾

いずれも1991年の湾岸戦争で使用され、恐るべき威力を示した兵装である。
イラクが油井を破壊し原油をペルシャ湾へ流したが、
そこを爆撃し原油流出をストップさせたのも、F-111FとGBU-15であった。
また特筆すべき事項として、湾岸戦争終了直前、完成直後であった、
究極のペネトレーション爆弾GBU-28”ディープスロート”を投下し、
イラク軍中最強固であったアル・タジ基地地下司令部破壊に成功している。
一般的に”バンカーバスター”と呼ばれる爆弾の実戦デビューでもあった。

燃料タンクはキットそのものを使用。
爆弾はハセガワのエアクラフトウェポン2 アメリカ特殊爆弾セットより。
ミサイルはハセガワのエアクラフトウェポン3 アメリカ空対空ミサイルセットより。


実機がこんな兵装をするかどうかは定かでは無い。
とゆーより、たぶん有り得ないと思う。
何故ならば、主翼外側の燃料タンクであるが、この位置のパイロンは
可変翼と連動していないのだ。あくまでも、この角度のみで有効なのである。
高速の為、主翼が後退すると、パイロンごと投棄しなければならないので、
実機では外側パイロンは殆ど使われなかったらしい。
それに、F-111自体、機体内部燃料タンクに余裕があるので、
よほどの任務で無い限り、燃料タンクを外装しなかったそうである。



コクピットのアップ。
例によって、マスキング処理してからのエアブラシ塗装。
それにしてもキャノピーのマスキングは面白い。

ちなみに、機体全体の塗装は今回が初使用のGSIクレオス プロコンボーイWAである。
実に使い易い良いエアブラシである。

塗料は全て設計図の指示通りの塗装である。
FS37038 H12 フラットブラック
FS34102 H303 グリーンFS34102 チャコールリザード迷彩色
FS34079 H309 グリーンFS34079 ベトナム迷彩色
FS30219 H310 ブラウンFS30219 ベトナム迷彩色


仕上げにトップコートのつや消し。
いつもは缶スプレーを使っていたが、
今回は、スーパークリアーつや消し182をレベリングうすめ液で薄めて使用。
缶スプレーより、全然使い易いし、仕上がりも綺麗だ。










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